研究内容

がんはゲノムの変異によって生ずる疾患で、個体別、空間的(腫瘍の場所)、時間的多様性を持っています。 がんの起源とその多様性の理解は、がん治療戦略、がんの予防法と超早期発見にイノベーションを起こし、 副作用に優しく個人ごとに効き目のよい薬を創出するための戦略上大変重要です。

本研究グループは、これまでにがんの大規模データ解析手法の3つの柱として Genomon、SiGN、Deep Tensorといったソフトウェアの開発を行ってきたました。

  • Genomon: がんゲノムシーケンスデータ解析パイプライン
  • SiGN: 大規模遺伝子ネットワーク推定ソフトウェア
  • Deep Tensor: 複雑なネットワーク構造から、サブネットワークと相互関係を抽出する

これらソフトウェアを発展させてスーパーコンピュータ「富岳」上へと実装し、次の研究を実施します。

  • 発がん初期や前がん病変にみられると思われる微少なクローン(細胞集団)を検出するために単一の組織から多数のサンプリングを行い、 それらの変異を包括的に解析することでクローンの間の変異の包含関係を調べ、クローンの拡大や進展を記述する。
  • 臨床情報を有する大規模コホートのマルチオミクス解析を通じて、疾患の特徴との相互関係を記述する。
  • 全エクソンおよび全ゲノムシーケンスや独自に開発している単一細胞シーケンスなど先駆的な手法を用いて、 新規の発がんメカニズムの解明を行う。

乳がん症例におけるクローン履歴解析の一例